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ESSAY
「寝室のくつわ虫 第六章」
ー地下からの出発ー

修復プログラムは途中の設定まで書いてあげれば、あとは、オートソースエディタに任せておけばいい。1時間の休憩だ。ほんとはもっと早く書けるのだけれど、それでは体が持たないのでスローモードで走らせている。 この間に街に出てソケットとインターフェイスを手に入れてこよう。どうにもこの2つがないと身動きがとれない。まずは、インターネットから店の情報を手に入れる。

「3ブロック先に大きな店があるな、名前はっと」

店の位置と名前を確認してから外に出る。長い階段をのぼっていくと例の店の奥に出る。日本人(だと思う)女はいなくなっていたが、あのウフンの女がいた。

「日本語がわかりますか?」

ウフンの女はウフンといいながら、

「スコシワカリマス、スコシデス」

なんだ、この国結構日本語通じるじゃないか。前途に不安を感じて損したなぁ。

「デセルコ・コンピュータ・セールスに行きたい」
「オーケー、アッチコッチデイッショニキテ」

案内してくれるらしい。ウフンの女はまたもやウフンと言いながら僕の腕に絡み付いてくる。ウフンと一緒に通りに出ると、街は今が一番賑やかな時間帯らしく、地元の人と観光客が入り乱れて騒いでいる。 2ブロック程行くと、オフィスビル街に入ったのかぐっと静かな気配になった。ショップの前に来ていろんなコンピュータ関係のディスプレイを見てうれしくなってしまった。

「おっ、なつかしいな。アタリが置いてあるぞ」

ディスプレイはまるで電脳骨董店という感じで、昔なつかしい電脳機器が飾ってあった。ディスプレイの上には『Classic Festival Vol.7』と書いてある。中に入って、カウンターに行って、ソケットとインターフェイスを指差して、

「これとこれを買います」

しかし、店員は?という顔をして何もしない。どうやら、日本語の通じる場所ではないらしい。物の指定と買い物はウフンにまかせてしまった。帰りに、コンビニによって食べ物とたばこを買い込む。それと、アルコール。 店に戻ってみると、まだ30分ほど時間があったのでウフンと一緒に少し飲んでいく事にした。

「名前は何ですか?」
「アハンです」

ウフンと言いながら言った。ウフンの名前はアハンか。できすぎとるな。でも、国が違うのだから笑ってはいけない。飲みながら話をしてこの都市の事を少しインプットする。もうそろそろ書き上がっている頃なのでウフンのアハンに地下に戻る事を告げて立ち上がった。 地下に降りていき覚えたてのパスワードを入力する。モニタを覗くと『COMPRETE!!』の文字が目に入ってきた。例のファイルに修復プログラムをかけると、10秒程で修復された。

「さて、解析してみるかな」

順番にファイルの中身を解析していくと12503行目で止まった。

「ここからが、大事な所ですな。待ってろよ~」

それ以降のデータだけをとりだして、眺めてみる。

「ふんふん、なるほどね。すこしややこしいな、オートってわけにはいかないか」

ポケットから、メディアを出してコンピュータにセットする。自分のプログラムをインストールして立ち上げる。このプログラムは複合解析プログラムの強化版で仕事のツールとして自分で作った物だ。ファイルのバックアップをとってから解析をかける。 ディスプレイにシステムからメッセージが出る。『残り時間=約3時間』

「ショッカーめ、なかなかやるな。がんばれ、本郷猛」

意味不明の事を言いながら、リモコンのボタンを押して、グラスをだし、そこにアルコールを注いでいく。コーンビーフをつまみながらこれからまたもや3時間の休憩だ。一杯やりながらコネクトソケットを取り付ける。ドライバをインストールして動作確認をする。 どうやら、見た目と違って中身は最新のパーツが組み込まれているらしく起動ダイアログに『接続しています』と、表示された。今度は自分の方だ。左手の小指の先をつまんで第一関節から先をはずす。そこにインターフェイスを取り付ける。 網膜ディスプレイにドライバ選択のダイアログが出てインストールしている。これも問題無さそうだ。あとは解析結果を待つだけ。コーンビーフの切れ端を口に放り込んでいると、入り口のモニタにアハンが写った。

「ベリコチニ、食べますか」

アハンの顔の前にあの焼うどんが湯気をたてていた。

「食べます、食べます」

僕はリモコンでドアをあけた。

「3時間休憩です、一緒に飲みますか」
「仕事があるのでだめです、残念です」

あまり残念そうではない表情でウフンと言った。

「ヤシダンは、今日来ません。明日来ます」
「わかった、どうもありがとう」

ドアを閉じるとさっそくベリコチニを食べる。

「そうか、これはベリコチニという名前か。ベリキューとベリコチニ、きっとベリが麺のことなんだな、うんきっとそうだ。モグモグ」

めまぐるしかった今日を思い出しながらアルコールを飲んでいたらさすがに疲れたのか眠ってしまった。

「ZZZZZZZZZZZZZZZZ」

目をさますと解析は終わっていた。これでやるべき作業の準備は整った。ここからはネットの中での作業になる。しばらくぶりなのでなんとなくぎこちない動作になってしまうがインターフェイスをソケットに差し込む。ぐちゃっというなつかしい音とともにモニタがぐわっと広がっていった。

「あっちゃん、たのむよ~。洒落じゃないんだから、もう」

これが最初の言葉だった。カエルである、そう、カエル。アドレスが違うのだからもっとましな生き物で登録しておいてくれてもよさそうなもんだけどなぁ。とりあえず、あっちゃんに最初に教えてもらったアドレスに向かう。 102号線の駅に向かって歩いていくとタバコ屋があった。たばことライターを買って駅に入ると天井から紫色の明かりが出ている。ウイルススキャンだ。6人に1人くらいの割合いでワクチンと書かれた部屋に吸い込まれていく。 なんだか、治安が悪そうだ。ホームに上がると電車が来ていた。これでとりあえず84号線に向かう。列車内はすいていたので座席に腰をおろしてあたりを見回す。いるわけはないのだが知ってる人がいるかどうかの確認だ。 電車が88号線に入ったところで隣に座っている犬が声をかけてきた。

「ヤシダンだよ、せいちゃん」

102号線からずっと隣に座っていた犬だ。

「ほんとにヤシダンなの、どうしてすぐに声をかけてくれないの」
「ひさしぶりのネットの感触を邪魔しちゃ悪いと思ってね」
「そうか、ありがとう。ヤシダンも84号線に」
「そうだよ、2人のほうが危なくないしね」

うむむ、さっそく危ないとか言ってるし。まいったなぁ。そうこうしてるうちに84号線に着いた。ここからは歩きで12番ゲートに向かう。犬とカエルが並んで歩いているのもまた面白い。 12番ゲートに入って6番目の角を曲がると突き当たりにネコの看板のドラッグストアがあった。よっちゃんがやっている店である。そこに入って店員によっちゃんを呼んでもらうと店員は、

「ヘリコさんは、まだ来てないですから、部屋でお待ち下さい」

という。ネットに入っていないのか、どこかにいっているのか解らないけど、ここは待つしかない。

「よっちゃん、どうしたんだろうね」
「急な用事で遅れてるんだろ」

10分も待っただろうか、よっちゃんがやってきた。

「解析終わったんだね。こっちへ来て、マップ見せるから」

奥の部屋はマップになっていた。

「データをのっけてみてくれる」

僕は自分のデータをマップに重ねるために、マップエンジンを起動する。マップデータに新たなデータが書き加えられていく。下から上に向かって膨大な数のラインがのぼって行き、新たなデータが残っていく。

「なるほど、ここがショッカーのアジトか」
「そうらしいね、プロテクトエンジンは何処につけるんだい」
「うん、30号線の84番ゲートにつけたいね、ここを押さえればしばらくは安心だ」
「じゃあ、僕はここで、モニターしながら回りの情報をながすよ」
よっちゃんはそう言いながら、モニターシステムに僕らの情報をインプットしはじめた。

「君たちが着くまでには場所を押さえておくから、詳しい場所は途中で知らせるよ」

「わかった。ヤシダン、出かけるよ」
「ワン!」

ネコと犬とカエルの話し合いは終わった。